私が自分の脇の臭いに初めて衝撃を受けたのは、中学二年生の夏、体育の授業が終わった後の着替え中でした。クラスメイトが何気なく口にした「なんか変な臭いしない?」という言葉が、鋭いナイフのように私の心に突き刺さりました。それまでの私は、汗は誰でも臭うものだと楽観視していましたが、自分の制服の脇の部分を嗅いでみた瞬間、目の前が真っ暗になりました。それは単なる汗臭さではなく、鼻の奥を突くような、今まで嗅いだことのない重苦しい臭いでした。あの日から、私の青春時代は「臭いの恐怖」に支配されることになりました。学校へ行くのが怖くなり、常に自分の周りに透明なバリアを張るように、友人との距離を置くようになりました。市販のデオドラント剤は片っ端から試しましたが、朝に塗っても二時間目の休み時間にはすでにあの不快な臭いが衣服を突き抜けてくるのです。夏場でも厚手のインナーを着込み、休み時間のたびにトイレに駆け込んで脇をシートで拭き取る作業を繰り返しました。そんな私の孤独な戦いを知った母が、高校卒業を控えた春休みにある提案をしてくれました。「そんなに悩んでいるなら、一度専門の病院で相談してみない?」という言葉でした。最初は恥ずかしさから拒絶しましたが、このまま社会人になることへの不安が勝り、私は皮膚科を受診しました。診察室で医師から「これは努力でどうにかなる清潔の問題ではなく、汗腺の性質なんです」と言われたとき、私はどれほど救われたか分かりません。私が不潔だったわけではない、体質だったのだと認められた気がしたからです。検査の結果、私は比較的重度の腋臭症であることが判明し、剪除法という手術を受ける決意をしました。手術は局所麻酔で行われ、脇の皮膚を数センチ切開して、臭いの元となるアポクリン腺を一つひとつ丁寧に取り除いていくというものでした。術後しばらくは腕を動かせない不自由さや痛みがありましたが、一ヶ月が経過した頃、私は人生で最高の瞬間を迎えました。激しい運動をしても、あの不快な臭いが全くしないのです。それどころか、脇に汗をかくこと自体が激減し、着たかった白いTシャツを一枚で着られる喜びを初めて知りました。コンプレックスが解消されたことで、私の性格も驚くほど前向きになりました。人との会話が怖くなくなり、プレゼンテーションや会議でも堂々と発言できるようになりました。ワキガの悩みは、経験した者にしか分からない深い絶望を伴います。しかし、今の私なら断言できます。それは決して一生背負い続けなければならない罰ではありません。医学の力を借り、勇気を持って一歩踏み出すことで、世界は驚くほど軽やかでクリアなものに変わります。今、暗い部屋で自分の臭いに怯えているかつての私のような若者がいるなら、どうか希望を捨てないでほしい。あなたの価値は臭いなどで決まるものではなく、その悩みを超えた先に本当の自分自身が待っているのですから。
青春時代を支配したワキガの悩みと克服の記録