私はかつて、自分の体力を過信し、多少の無理は寝れば治ると信じて疑わない人間でした。しかし、三十代の半ばを過ぎた頃から、私の身体の中で何かが確実に壊れていくような感覚に襲われていました。朝起きた瞬間から身体が鉛のように重く、どれだけ眠っても疲れが取れない。鏡を見ると顔はいつもむくんでおり、大して食べていないのに体重は増える一方。何より辛かったのは、これまで大好きだった仕事に対しても、全く意欲が湧かなくなってしまったことでした。私は自分がうつ病になったのだと思い込み、心療内科へ行くべきか、それとも年齢による更年期障害の始まりなのかと一人で悩み続け、暗い迷路を彷徨うような半年間を過ごしました。転機が訪れたのは、職場の健康診断で再検査の通知が届いたことでした。私は自分の不調の正体を突き止めたい一心で、検索エンジンに自分の症状を打ち込み、そこで初めて「甲状腺機能低下症」という言葉に出会いました。何科へ行けばいいのか調べると、内分泌内科が専門であると分かり、私は藁にもすがる思いで専門のクリニックを予約しました。診察室で医師にこれまでの経緯を話すと、先生は私の話を丁寧に聞いた上で、喉のあたりを優しく触診し、「少し腫れていますね、血液検査で詳しく調べましょう」と言ってくれました。数日後、再診で告げられた診断結果は、橋本病を原因とする甲状腺機能低下症でした。私の血液中の甲状腺ホルモンは極端に不足しており、その代わりに脳が「ホルモンを出せ」と必死に指令を送っている証拠として、TSHという数値が異常に跳ね上がっていたのです。その結果を聞いた瞬間、私は絶望するどころか、言葉にできない安堵感に包まれました。自分が怠けていたわけではなく、病気が私の身体を重くし、心を暗くしていたのだと証明されたからです。それから、不足しているホルモンを補うための内服治療が始まりました。小さな一錠の薬を毎朝飲む。それだけのことで、私の世界は驚くほど劇的に変わっていきました。数週間が経過する頃には、あんなに重かった足取りが軽くなり、頭にかかっていた霧が晴れるように思考がクリアになっていったのです。以前のような情熱を持って仕事に取り組めるようになったとき、私は医療の力、そして正しい診療科を選ぶことの重要性を痛切に感じました。もしあのまま、心療内科だけで薬をもらっていたり、ただ我慢し続けたりしていたら、今の私はなかったでしょう。甲状腺という小さな臓器は、私の人生のすべてを左右していたのです。今、原因不明のだるさや意欲の低下に苦しんでいる方がいたら、伝えたいことがあります。あなたの苦しみには、医学的な名前があるかもしれません。そして、それは適切な内分泌内科の助けを借りることで、必ず解決へと向かうはずです。自分の身体が出しているSOSを信じて、専門医の門を叩いてみてください。
倦怠感の正体が判明した私の甲状腺機能低下症の通院体験記