私は五十五歳を過ぎた頃から、夜中に何度も尿意で目が覚めるようになりました。最初は年齢のせいだと自分に言い聞かせていましたが、次第に一晩に三回、四回とトイレに立つようになり、まとまった睡眠が取れなくなっていきました。日中も仕事の会議中に尿意が気になり、集中力が著しく低下。長時間のドライブや列車の移動も恐怖に感じるようになり、私の世界はトイレの場所を軸に回り始めたのです。おシッコの回数が多いという悩みは、男としてのプライドもあり、なかなか誰にも相談できませんでした。しかし、ある朝、鏡に映った自分の疲れ切った顔を見て、このままではいけないと意を決して泌尿器科を受診することにしました。病院での診察は、思っていたよりもずっと静かで事務的なものでした。医師は私の話を丁寧に聞いた後、超音波検査で膀胱と前立腺の状態を確認してくれました。診断の結果は、典型的な前立腺肥大症でした。前立腺が通常の二倍近くに腫れ上がっており、それが尿道を圧迫して、膀胱の中に常に古い尿が残っている残尿状態を作り出していたのです。医師からは、前立腺を小さくする薬と尿道を広げる薬が処方されました。治療を開始して二週間、驚くべき変化が現れました。まず、夜中に起きる回数が一回に減り、朝までぐっすりと眠れるようになったのです。尿の勢いも若い頃のように戻り、用を足した後のスッキリ感がこれほどまでに幸福なものだったのかと再確認しました。何よりも大きかったのは、精神的な解放感です。外出先でまずトイレを探す必要がなくなり、再び趣味の山歩きを楽しめるようになりました。おシッコの回数が多いという症状は、身体の部品がメンテナンスを求めているサインに過ぎません。恥ずかしがって受診を先延ばしにすることは、自分から人生の楽しみを奪っているのと同じことだったのだと、今では痛感しています。もし今、かつての私のように、夜の暗闇の中でトイレへ向かう足取りに溜息をついている人がいるなら、伝えたいことがあります。現代の医学は非常に進歩しており、適切な薬一つであなたの夜は劇的に穏やかなものに変わります。勇気を出して専門医の門を叩くことが、自分自身の人生を再起動させるための最も確実な方法なのです。
夜間のトイレが辛かった私の前立腺肥大症克服体験記