パーキンソン病の疑いで医療機関(主に神経内科)を受診する際、医師に自分の症状や状況を的確に伝えることは、正確な診断と適切な治療方針の決定のために非常に重要です。しかし、いざ診察室に入ると緊張してしまったり、何を伝えれば良いのか分からなくなってしまったりすることもあるでしょう。事前に伝えるべきポイントを整理し、準備をしておくことで、スムーズなコミュニケーションに繋がります。まず、最も重要なのは「いつから、どのような症状が、どの部位に現れているのか」です。手の震え(安静時か動作時か、左右どちらか)、動作の遅さ(歩き始めが出にくい、動作が全体的にゆっくりになったなど)、歩きにくさ(小刻み歩行、すり足、転びやすいなど)、筋肉のこわばり、表情の乏しさ、声の小ささ、字が小さくなった、便秘、睡眠障害(夜中に大声を出す、手足が動くなど)、気分の落ち込み、不安感、物忘れなど、自覚している症状を具体的に伝えましょう。症状が出始めた時期や、症状が徐々に進行しているか、あるいは急に悪化したかなども重要な情報です。次に、「日常生活への支障の程度」も詳しく伝えましょう。例えば、着替えや食事、入浴、トイレといった身の回りのことがどの程度困難になっているか、仕事や趣味、社会活動にどのような影響が出ているかなどを具体的に説明します。また、「これまでに同様の症状で他の医療機関を受診したことがあるか」どうか、あった場合はその時の診断や治療内容、効果なども伝えます。そして、「過去の病歴や現在治療中の病気、服用している薬(市販薬やサプリメント、漢方薬も含む)」は、必ず正確に伝えましょう。特に、抗精神病薬や制吐薬などの服用歴は、薬剤性パーキンソニズムとの鑑別に重要です。「アレルギーの有無」や、「家族歴(家族にパーキンソン病や他の神経疾患の人がいるかなど)」も参考になります。「生活習慣」についても聞かれることがあります。睡眠時間や質、食事内容、運動習慣、飲酒・喫煙の有無、ストレスの状況などを伝えましょう。これらの情報をメモにまとめて持参すると、伝え忘れを防ぐことができます。可能であれば、症状の変化を記録した日記や、歩行の様子を撮影した動画などがあると、医師も状況を把握しやすくなります。遠慮せずに、自分の言葉で正直に、そして具体的に伝えることが、より良い診断と治療への第一歩となります。