内分泌代謝科の診察室には、連日のように「どこの病院に行っても原因が分からなかった」という患者様が辿り着かれます。中には、何年も重い倦怠感に耐え続け、ようやく私たちの科に辿り着いたときには、顔貌が完全に変わってしまっている方もいらっしゃいます。医師としてこの病気を診る際、私たちが最も大切にしているのは「血液検査の数字の裏にある患者様の主観的な苦しみ」をいかに科学的に解明するかという点です。インタビューの中でよく受ける質問に、甲状腺機能低下症は薬を一生飲み続けなければならないのか、というものがあります。私の答えは「多くの場合、その通りです。しかし、それはメガネやコンタクトレンズで視力を補うのと同じ、前向きな自己メンテナンスですよ」と答えています。現代の治療の主流は、チラーヂンSという合成ホルモン剤による補充ですが、この薬の素晴らしい点は、副作用が極めて少なく、かつ非常に安価であることです。適切な量を見極めることさえできれば、患者様は病気であることを忘れるほど健康な状態を取り戻すことができます。最新の治療現場では、単にTSHの数値を基準値内に入れるだけでなく、個々の患者様が「一番楽だと感じるポイント」を探るテーラーメイドの治療が行われています。また、私たちが診断において特に注視しているのは、潜在性甲状腺機能低下症と呼ばれる、症状がまだ表面化していない極めて初期の段階です。この段階で介入すべきか、それとも経過観察に留めるべきかの判断こそが、内分泌内科医の腕の見せ所です。受診科で迷っている方へのアドバイスとしては、病院のホームページで「日本内分泌学会認定専門医」や「日本甲状腺学会認定専門医」という資格を確認することをお勧めします。甲状腺という臓器は、非常に小さくとも全身の血管、心臓、脳、そして皮膚に至るまで影響を及ぼすため、その診察には多角的な視点が欠かせません。もし、あなたが内科を受診して「異常なし」と言われたにもかかわらず、どうしても体調が戻らないのであれば、遠慮なく私たちの門を叩いてください。ホルモンの迷宮で立ち往生しているあなたを、科学の光で救い出す準備が、ここには整っています。甲状腺機能低下症は何科で診るべきかという問いの答えは、単なる場所の指定ではなく、あなたの人生全体のエネルギーを再び充填するための、最高のプロフェッショナルに出会うべき場所、ということです。