パーキンソン病は、脳内のドパミンという神経伝達物質が不足することで、主に体の動きに関する様々な症状が現れる病気です。その中でも特に代表的な四つの運動症状は「パーキンソン病の四大症状」として知られています。これらの症状を理解しておくことは、病気の早期発見に繋がります。まず、一つ目は「安静時振戦(あんせいじしんせん)」です。これは、何もしていない安静な状態で、手や足、顎などが意思とは関係なくリズミカルに震える症状です。特に、手では「丸薬丸め運動」といって、親指と人差し指をこすり合わせるような特徴的な震えが見られることがあります。動作を開始すると震えが軽減したり、睡眠中は消失したりするのが特徴です。次に、「筋強剛(きんきょうごう)」または「固縮(こしゅく)」です。これは、筋肉がこわばって硬くなり、関節を他動的に動かそうとすると、歯車がカクカクと回るような抵抗(歯車様強剛)や、鉛管を曲げるような持続的な抵抗(鉛管様強剛)を感じる状態です。患者さん自身は、体が重く感じたり、動かしにくいと感じたりします。三つ目は、「無動(むどう)・寡動(かどう)」です。これは、動作が全体的に遅く、少なくなる症状です。動き始め(第一歩)が出にくかったり(すくみ足)、歩行時の腕の振りが小さくなったり、表情が乏しくなったり(仮面様顔貌)、声が小さく単調になったり、字が小さくなったり(小字症)といった形で現れます。そして、四つ目は「姿勢反射障害(しせいはんしゃしょうがい)」です。これは、体のバランスを保つ反射機能が障害され、転びやすくなる症状です。立っている時や歩いている時に、体が傾いたり、前かがみになったりしやすく、押されると簡単に倒れてしまったり、方向転換が苦手になったりします。この姿勢反射障害は、比較的病気が進行してから現れることが多いと言われています。これらの四大症状以外にも、パーキンソン病では、便秘、頻尿、起立性低血圧、発汗異常といった自律神経症状や、嗅覚の低下、睡眠障害(レム睡眠行動異常症など)、うつ症状、不安感、認知機能の低下(パーキンソン病認知症など)、疲労感、痛みといった様々な非運動症状が現れることもあります。これらの症状は、運動症状よりも早くから現れることもあるため、注意が必要です。
パーキンソン病の四大症状とその他のサイン