夕方になると足がパンパンになり、ブーツがきつくなる。こうした足のむくみは、特に女性にとって身近な悩みの一つです。筋肉量が男性に比べて少なく、血行を促すポンプ作用が弱いことや、ホルモンバランスの変動などが影響するため、女性はむくみやすい傾向にあります。多くは一時的なものですが、中には病気が原因となっているケースもあり、適切な診療科を知っておくことが大切です。女性特有の原因として考えられるのが、月経周期に伴うホルモンバランスの変化です。月経前になると、黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響で体内に水分を溜め込みやすくなり、むくみが生じることがあります。これは「月経前症候群(PMS)」の症状の一つで、月経が始まると自然に解消されることが多いです。もし、むくみ以外にも気分の落ち込みやイライラなど、他のPMS症状が強い場合は、「婦人科」に相談するのも良いでしょう。低用量ピルや漢方薬などで症状が緩和されることがあります。また、妊娠中も血液量の増加や大きくなった子宮が血管を圧迫することで、むくみやすくなります。ただし、急激な体重増加や高血圧を伴うむくみは「妊娠高血圧症候群」のサインかもしれないため、必ず産婦人科の医師に相談が必要です。一方で、足の血管がボコボコと浮き出て、だるさや重さ、痛みを伴うむくみがある場合は、「下肢静脈瘤」が疑われます。これは足の静脈にある、血液の逆流を防ぐ弁が壊れてしまう病気で、これも女性に多く見られます。この場合の専門は「血管外科」です。弾性ストッキングによる圧迫療法や、レーザー治療、手術など、症状の程度に応じた治療法があります。このように、女性の足のむくみには様々な背景が考えられます。まずは内科や循環器内科で心臓や腎臓などの内臓疾患がないかを確認し、その上で症状に応じて婦人科や血管外科といった専門科の受診を検討するのが、問題解決への近道です。