クーラー病の根本的な原因が、急激な温度差による「自律神経の乱れ」にあることは、もはや常識となりつつあります。つまり、クーラー病を本質的に改善し、来年以降も悩まされない体を作るためには、対症療法だけでなく、自律神経そのもののバランスを整える生活習慣を身につけることが何よりも重要です。自律神経は、活動モードの「交感神経」とリラックスモードの「副交感神経」の二つが、シーソーのようにバランスを取りながら私たちの体をコントロールしています。クーラー病は、このシーソーがうまく機能しなくなった状態です。では、どうすればこのバランスを取り戻せるのでしょうか。まず、最も効果的なのが「入浴」の習慣です。夏場はシャワーで済ませてしまいがちですが、これでは交感神経が優位なままになりがちです。三十八度から四十度程度のぬるめのお湯に、十五分から二十分ほどゆっくりと浸かることで、副交感神経が優位に切り替わり、心身ともにリラックスできます。血行が促進され、体の芯から温まることで、質の良い睡眠にも繋がります。次に、「適度な運動」です。激しい運動は必要ありません。ウォーキングや軽いジョギング、ヨガ、ストレッチなど、少し汗ばむ程度の運動を習慣にすることで、血行が促進され、自律神経の調整機能が高まります。特に日中に体を動かして適度に交感神経を刺激し、夜にリラックスモードへ切り替えるというメリハリをつけることが大切です。また、「質の良い睡眠」も不可欠です。寝る直前までスマートフォンを見ていると、ブルーライトの刺激で交感神経が活発になり、寝つきが悪くなります。就寝一時間前には電子機器から離れ、リラックスできる時間を作りましょう。寝室のクーラーは、タイマー機能を活用し、就寝後一時間から二時間で切れるように設定するか、一晩中つける場合は二十八度程度の高めの温度設定にするのがおすすめです。日々の生活の中に、自律神経をいたわる時間を少しでも取り入れること。それが、夏の不調に負けない、健やかな体を作るための最も確実な道筋なのです。
自律神経を整える習慣でクーラー病に負けない体に