子供が水疱瘡にかかった、あるいは大人が発症してしまった時、医師から処方される薬にはどのようなものがあるのでしょうか。水疱瘡の治療は、主に「ウイルスの増殖を抑える」「かゆみを和らげる」「細菌による二次感染を防ぐ」という三つの目的を持って行われます。そのために使われる薬は、大きく分けて「抗ウイルス薬」「塗り薬」「かゆみ止めの内服薬」の三本柱となります。まず中心となるのが、水痘帯状疱疹ウイルスの増殖そのものを抑え込む「抗ウイルス薬」です。アシクロビルやバラシクロビルといった成分の飲み薬が一般的で、発症から四十八時間から七十二時間以内に服用を開始することで、発疹の数を減らし、治癒までの期間を短縮する効果が期待できます。特に大人がかかった場合や、アトピー性皮膚炎を持つ子供など重症化のリスクがある場合には、ほぼ必須の薬と言えるでしょう。次に、水疱瘡の最もつらい症状である強いかゆみに対処するための薬です。これには、患部に直接塗る「塗り薬」と、体の中からかゆみを抑える「飲み薬」があります。塗り薬としては、水疱を乾燥させて保護する目的で、かつてはカチリ(フェノール・亜鉛華リニメント)という白い液体がよく用いられましたが、最近では保湿や消炎効果のあるクリームや軟膏が処方されることも増えています。飲み薬としては、抗ヒスタミン薬が処方され、かゆみを軽減し、かき壊しを防ぐ助けとなります。かき壊しは、跡が残る原因になるだけでなく、傷口から細菌が侵入して二次感染(とびひなど)を引き起こすリスクもあるため、かゆみのコントロールは非常に重要です。これらの薬は、医師が患者の年齢や症状の重さ、基礎疾患の有無などを総合的に判断して処方します。自己判断で市販薬を使用することはせず、必ず医療機関を受診し、適切な指示に従うことが、水疱瘡を合併症なくきれいに治すための最短ルートなのです。
水疱瘡の治療で使われる薬の種類と役割