足のむくみという一つの症状でも、その背後には様々な原因が隠れており、受診する診療科によってアプローチや検査方法が異なります。自分の症状と照らし合わせながら、どの科が最適かを知るためのガイドとして、診療科別の特徴を見ていきましょう。まず「循環器内科」では、心臓や血管の病気を疑います。代表的なのは心不全や深部静脈血栓症です。問診で息切れや動悸の有無などを確認し、聴診器で心臓の雑音をチェックします。主な検査は、心臓の電気的な活動を調べる「心電図」、心臓の動きや大きさを直接見る「心臓超音波(エコー)検査」、そして心不全の指標となるBNPというホルモンを測定する「血液検査」などです。片足の急なむくみでは、血管エコーで血栓の有無を確認します。次に「腎臓内科」では、腎機能の低下を疑います。顔やまぶたなど、全身にむくみが見られる場合や、尿の量が減ったり泡立ったりする場合に受診を検討します。中心となる検査は「尿検査」と「血液検査」です。尿検査では、タンパク質や血液が混じっていないかを調べ、腎臓からのSOSを捉えます。血液検査では、クレアチニンやeGFRといった項目で、腎臓の濾過能力がどの程度保たれているかを評価します。続いて「血管外科」は、足の血管そのもののトラブルを専門とします。代表的な病気は、血管がこぶのように浮き出る「下肢静脈瘤」です。視診や触診に加え、「血管エコー検査」で静脈の弁が壊れて血液が逆流していないかを詳細に調べます。また「皮膚科」では、蜂窩織炎(ほうかしきえん)のような細菌感染によるむくみや、アレルギー性のむくみなどを扱います。皮膚の赤み、熱感、痛みが強い場合に受診します。このように、診療科ごとに得意分野は明確に分かれています。どの科か判断に迷う場合は、まず全ての可能性を広く見てくれる「内科」を受診し、そこから専門科へ橋渡ししてもらうのが最も効率的で安心な方法と言えるでしょう。