高齢になると、足のむくみを訴える人が増えてきます。加齢に伴う筋力の低下や血管の老化など、ある程度のむくみは生理的な変化とも言えますが、その背後には見過ごしてはならない病気が隠れていることも多いため、ご本人だけでなく、周りの家族が注意深く見守ってあげることが非常に重要です。高齢者の場合、自覚症状をうまく表現できなかったり、「年のせいだから」と我慢してしまったりすることが少なくありません。家族が「最近、足が太くなったかな?」「靴下の跡がいつもより深くついているな」「歩き方が少しおぼつかない気がする」といった日常の小さな変化に気づくことが、病気の早期発見に繋がります。特に注意して観察したいのが、心臓や腎臓の機能低下によるむくみです。高齢者に多い「心不全」では、足のむくみに加えて、少し動いただけでの息切れや、夜間に咳き込む、横になると息苦しくて眠れないといった症状が現れることがあります。こうしたサインが見られたら、速やかに「循環器内科」や「内科」を受診させるべきです。また、腎機能の低下によるむくみも考えられます。この場合、足だけでなく顔やまぶたにもむくみが出ることがあります。食欲不振やだるさを伴うことも多いです。持病で糖尿病や高血圧がある方は特に腎臓への負担が大きいため、定期的なチェックが欠かせません。受診の際には、本人の代わりに家族が付き添い、医師に症状の経緯や普段の様子を具体的に説明してあげることが望ましいです。服用している薬を全て把握し、お薬手帳を持参することも忘れてはいけません。薬の副作用によるむくみも考えられるからです。何科を受診すればよいか迷う場合は、まずはかかりつけ医に相談するのが第一歩です。日頃から本人の状態をよく知るかかりつけ医なら、総合的な判断を下し、必要に応じて適切な専門医へ紹介してくれます。家族の愛情のこもった観察眼が、高齢者の健康を守るための最も強力なセンサーとなるのです。
高齢者の足のむくみ。家族が気づいてあげるべきこと