子どもが手足口病にかかった際、家庭内での感染拡大、特に兄弟姉妹への感染を防ぐことは、保護者にとって大きな課題です。お風呂の時間は、子どもたちが密に接触する機会の一つであり、適切な対策を講じなければ、感染を広げるリスクを高めてしまいます。お風呂のお湯自体から感染する可能性は低いとされていますが、油断は禁物です。ここでは、感染リスクを最小限に抑えるための、具体的なお風呂の入り方と注意点をご紹介します。最も理想的で確実な方法は、「入浴の順番を最後にする」ことです。元気な兄弟を先にお風呂に入れ、手足口病にかかっている子どもは一番最後に入浴させます。これにより、万が一お湯にウイルスが混入したとしても、他の子どもへの影響を防ぐことができます。入浴後は、浴槽のお湯をすぐに抜き、念のため軽くシャワーで洗い流しておくと、より安心です。もし、生活リズムの都合などで順番を最後にするのが難しい場合、あるいは子どもが一人で入るのを嫌がる場合は、一緒に入浴することも可能ですが、その際は細心の注意が必要です。絶対に避けるべきなのは、「タオルやスポンジの共有」です。体を洗うタオルやスポンジ、体を拭くバスタオルは、必ず一人ひとり別のものを用意し、明確に区別してください。感染している子どもの水疱に触れたタオルで、別の兄弟の体を拭くことは、直接ウイルスを塗り広げるような行為です。入浴後に使う保湿剤なども、容器に直接指を入れるタイプのものは避け、ポンプ式にするか、清潔なスプーンなどで取り分けるようにしましょう。また、お風呂で使うおもちゃにも注意が必要です。ウイルスはプラスチックの表面などで数時間生存することがあります。感染している子どもが口に入れたり、舐めたりしたおもちゃは、入浴後に洗浄・消毒(アルコールは効きにくいウイルスなので、次亜塩素酸ナトリウムなどが有効)するか、しばらく使用を控えるのが賢明です。そして、お風呂から上がった後、保護者の役割はまだ終わりません。子どもの体を拭いたり、着替えさせたりした後は、必ず自身の「手洗い」を徹底してください。石鹸と流水で30秒以上かけて丁寧に洗うことで、手に付着したウイルスを取り除き、自分自身への感染や、他の家族への感染媒介を防ぐことができます。