健康診断で肝機能の異常を指摘された時の対処法
年に一度の健康診断は、自覚症状のない病気のサインを捉えるための貴重な機会です。その結果表に「肝機能障害の疑い」や「要精密検査」といった記載があると、心穏やかではいられなくなるでしょう。しかし、ここで過度に慌てる必要はありません。むしろ、これは自身の体と向き合う絶好の機会と捉え、冷静かつ適切に行動することが何よりも重要です。まず行うべきは、その結果を携えて医療機関を受診することです。健康診断はあくまでスクリーニング、つまり大勢の中から異常の可能性がある人を効率的に見つけ出すためのものです。前日の食事内容や飲酒、あるいは一時的な体調不良が数値に影響を与えることも珍しくありません。本当に治療が必要な状態なのかを正確に判断するためには、専門の医師による診察と、より詳細な検査が不可欠となります。では、具体的に何科を目指すべきでしょうか。最も適しているのは、肝臓を専門分野に含む「消化器内科」です。病院のウェブサイトなどを確認し、「肝臓内科」や「肝臓専門外来」といった名称を掲げている施設があれば、そこはさらに専門性が高いと判断できます。受診の際には、必ず健康診断の結果を持参しましょう。特に、過去数年分のデータがあれば、数値がどのように推移してきたかという経緯が分かり、診断の大きな助けとなります。医師は問診で生活習慣などを詳しく聞き取った上で、血液検査や腹部超音波検査などを実施し、数値異常の背後にある原因を探ります。脂肪肝、ウイルス性肝炎、アルコール性肝障害など、原因は多岐にわたります。いずれにせよ、早期に原因を特定し、生活習慣の改善指導や適切な治療を開始すれば、肝硬変や肝がんといった重篤な病態への進行を防ぐことが可能です。不安な結果は、未来の健康への道しるべなのです。